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日本の民話を語り伝える会が44年の活動に終止符

 2002年に道新ボランティア奨励賞を受けた「日本の民話を語り伝える会」(藤井紀子代表=写真左)が44年間の活動に終止符を打ち、4月16日に札幌市内のホテルで卒業の集いを開きます。

 同会は1975年、東隆子さん(現在89歳=写真右)が「老人クラブではなく、もっと自分らしく社会とつながりたい」と、子育てを終えた女性に呼び掛けて結成しました。幼稚園や保育所に行って日本の昔話を伝え始めました。まだ、「ボランティア」という言葉が社会に浸透していなかった時代です。

 会員が子どものころ聞いた話を暗記して話すのではなく、自分のものとして語り伝えるので、一話を覚えるのに1年から数年かける人もいました。会員の人生がにじみ出た味のある語りになり、十人十色の雰囲気がこの会の一番の良さといいます。道新ボランティア奨励賞の賞金で、日本民話の宝庫・岩手県の遠野地方に勉強に行ったり、日高管内平取町二風谷に行ってアイヌ民族と交流したりしました。

 宗谷管内枝幸町など道内遠隔地にも出かけて公演し、札幌市カルチャーナイトには昨年7月まで14回参加、ほかに北海道開拓の村、知事公館、琴似ミニ児童館など活動場所が広がりました。札幌の栄光幼稚園とは1979年から長く続いてきました。

 現在の会員は13人、平均年齢80歳で、最高94歳の方もいます。藤井代表は「気持ちは80歳になっても90歳になっても子供たちからエールをもらえると続くのですが、その場に行くのが大変になりました」と語ります。東さんは「道新ボランティア賞をもらったのがすごく力になり、元気になれました。44年間続けてこれたのも社会に認められ、うれしかったから」と笑顔で振りかえりました。

民話の会