「学生であることを尊重しないアルバイト」を「ブラックバイト」と名付けて社会問題として提起した大内裕和・中京大教授が12月11日、札幌市内で「若者の格差と貧困~奨学金問題から考える」と題して講演した。
コープさっぽろ福祉基金が主催し、生協組合員や一般市民ら約200人が参加した。大内さんは日本の奨学金制度の変化について説明し、日本学生支援機構の奨学金のうち、有利子の貸与人数、金額ともいかに増加しているかを示した。今や学生の52%が奨学金を利用しており、外国では奨学金と言えば、返済しなくていいが、日本ではローンの貸与であること、背景には政府が大学に出すお金が減った半面、授業料が上がっていること、世帯年収の低下などがあることを指摘した。
東京私大教連の調査では、2016年度の仕送り額は月平均8万5700円で、1986年度の調査開始以来の過去最低。ここから家賃を除き、30日で割った1日あたり生活費は790円しかない。学生のバイト漬け生活、いわゆるブラックバイトが増え、卒業後の返還の困難さから、結婚や子育てをあきらめる少子化にもつながっているという。「学生食堂で食べるお金もない学生が増えて、学食がガラガラ。家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲のあるすべての人が学べる社会へ、奨学金の改善と授業料の引き下げが重要」と力説した。