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札幌南藻園を見学:大場信一園長に聴く

 公益財団法人鉄道弘済会が運営する児童養護施設札幌南藻園を見学しました。

 戦時中、青函連絡船が米軍の攻撃で沈められ、多くの国鉄職員が犠牲になったため、その遺児を育てるため、昭和28年(1953年)に開設された歴史を持ちます。鉄道弘済会の児童養護施設は全国でここだけだそうです。今は、近くにグループホームも開設され、より家庭的な環境で子供たちを育てようとしています。

 大場園長は、児童相談所のケースワーカーから出発し、道中央児相所長も務めた福祉のベテランです。全国的な児童養護施設の現状にも詳しいので、新設された国の支援金についてうかがいました。この支援金は、児童養護施設や自立援助ホーム、里親家庭などを出て、進学または就職した人を対象にしており、進学者には在学中、毎月5万円を「貸与」してくれます。道内は北海道社会福祉協議会が窓口になっています。

 大学卒業から1年以内に就職し、5年間働き続けると、返済を全額免除されるので、「給付型」に近い制度に見えます。しかし、大場園長は「5年間というのは、難しいんです。特に女子は結婚すると、仕事やめて就業継続できなくなる。連絡をとれなくなる子もいるだろうし、そういう場合は保証人に請求が来る」と話します。養護施設の子の場合は、施設長が保証人になるケースが多いとみられます。当基金は、道内の児童養護施設にいる高校生全員と、進学を希望する高校3年生への奨学金をいずれも返済義務のない給付型で支給しています。その必要性が薄れていないことを感じました。