昭和40年(1965年)の北海道新聞函館版に「匿名で三百円 二十歳の障害者から」という記事が載りました。この寄付をした青年が今、72歳になり、そろそろ終活の準備をと、身辺整理をしたところ、父親がスクラップを残した黄ばんだ新聞記事を見つけました。
この人は、20歳から3年間、自分と同じ境遇の身体障害者に希望をもって生きてほしい、という気持ちで寄付を続けたことを思い出し、「障害者のために使ってほしい」と、匿名の封書で2万円を当基金に寄せました。
父親が当時、地元の社会福祉協議会の理事をしていたことも、今回、初めて知りました。50年以上たち、近年、少しずつ障害者としてのあるべき姿を勉強していた矢先でした。「父は私に、くじけるな、めげるな、まっとうに生きろよ、と言いたかったに違いありません」と思いめぐらします。
この人は、当基金への手紙に、今年7月に105歳で亡くなった日野原重明さんの言葉を引用しました。「命というのは使える時間。自分の持っている時間をだれかのために使ってほしい」
年金暮らしの中から、お寄せいただいた貴重な善意を、障害のある方たちのために使わせていただきます。