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精神科医の田辺等さん講演「人はなぜ自傷し、自殺するか」

 精神科医で北星大教授の田辺等さんが3月24日、札幌市教育文化会館で「人はなぜ自傷し、自殺するか-アディクションからの回復のために」と題して講演しました。

 北海道いのちの電話の市民公開講座です。田辺さんは「『リストカットをやったらダメでしょう』と言っても役立たない。自傷をするぐらい大変だった、つらかったことを理解して、何が大変だったかを聴くことから始めるしかない」と話しました。

 「自傷した人が、自分の心の背景を少しずつ語るときに、まじめに真剣に受け止めてくれる人がいることが大切。つきあいができると、少しずつ自傷が減っていくし、やめることができる。自分の人生を変えていく主体は自分。自分を理解してくれる人と出会うことが第一歩になる」と述べました。

 田辺さんは参加者には、「理想と現実のはざまで悩んでいる自分をそのまま理解してくれる人」になることを期待しました。その結果、「アディクション(自傷や飲酒、ギャンブル依存などの嗜癖)で自分をごまかしていた背景を理解していく」ことにつながるそうです。自傷行為を繰り返す人には、過去に被虐待歴のある人が多く、解決しがたいつらさや苦痛を一時的にマヒさせるために体の痛みを使っているという臨床経験からの田辺さんの話に参加者はうなづいていました。